私の旅先通信(2)
    ケニアから愛を込めて

文と写真●ピキピキ
 1994年9月のある日、突然、人生のターニングポイントを迎えた私は、なぜかアフリカのケニアにやってきました。ケニアが国の名前なのか、ナイロビが国の名前なのかも知らずにやってきたので、勿論、パソコンなんぞは持ってきていません。職場にあったのは英語版Windows 95まし〜ん。当然、日本語は表示できず、ひたすらローマ字でメールを書く生活が始まりました。

▲ナイロビ国立公園のキリン

 日本では、家にいる時間(4時間)より電車に乗っている時間(5時間)のほうが長いというジャパニーズ・ビジネスマンの典型のような生活を送っていましたが、こちらは5時になると誰もいなくなってしまいます。さらに、土日はお休み。さらにさらに、通勤時間は歩いて3分。ごくらく〜、とお思いになるかもしれませんが、実際は暇で暇で気が狂いそうになりました。日本人って損な人種ですねぇ〜。ぼ〜っとしていられないのです。

 そんな生活を一変させてくれたのがニフティーサーブです。確か1998年に海外からでも入会できるようになりました。ニフティーに、英語で「海外から入会できますか?」とメールを出したところ、「はい、気象フォーラムはあります」という意味不明のお返事をいただいた記憶があります。どうやら、私が「入会できるかどうか(whether)」を「weather(天気)」とタイプしてしまったためだと、あとで判明いたしました(^^ゞ。

 電話帳のようなニフティーサーブ入会キットとノートパソコンを購入し、ニフティー・マネージャーというソフトをインストールして、はじめて覗いた会議室が、確かSUGARさん(現旅先通信研究所セブ島支部長)と出会ったFWORLDの「ボンボ・ヤージ」だったような。でも、ここは毎日何百もの投稿があって、あっという間に挫折しました。
 当時はダイアルアップで、接続速度も2400bps以下でしたから、会議室の発言をダウンロードしながら、その内容を余裕で読めてました(^^♪。その後、通信ソフトをAircraftに乗り換え、日本でグレ電につないだ時のダウンロードの早さには本当にびっくりしました。早すぎて投稿が読めません(爆)。

 同じ1998年に旅先通信研究所の初の著作、『旅先通信ガイドブック』を入手し、そこに載っていたFPCUM13番会議室「旅先通信の部屋」にデビューしました。それ以降は、もう「暇だ〜」と思うことはなくなりました(自爆)。どっぷりとパソコン通信にはまり、まさに「通信ジャンキー」。自力でホームページも立ち上げ、どこに行くにもパソコンを持ってゆく生活になりました。

 「旅先通信の部屋」では、おいしい物を食べ歩くことの喜びを学び、オフ会の楽しさも知りました。2005年の3月31日にパソコン通信の会議室が終了した今でも、当時のメンバーと香港オフなどを行っており、昨年(2005年)末には村田さん(現旅先通信研究所韓国支部長)にも参加していただきました。すぅさん(旅先通信研究所台湾支部長)とは韓国でお目にかかり、はるにいちゃん(旅先通信研究所トルコ支部長)とは台湾で、SUGARさんとはインドとドバイで。懐かしいです。あささん(以下略)、川添さん、μさん、佐伯さん、いつかお目にかかりたいと思っています(^^♪。

 ニフティーの会議室では、最初のころ「ケニアからどうやってつないでいるのですか?」とか、「すご〜い、アフリカからどうやってメールが届くのですか?」などとよく聞かれましたが、あの頃はひたすら自宅の電話からつないでいました(注1)。Windows 2000のサービスパックをダウンロードするのにまる1日かかってました。それも、途中で接続が切れると最初からやり直しで、ダウンロードし終わるのに1週間くらいかかったような記憶があります。ちゃんとダウンロードできずに、すぅさんにサービスパックのCDを送ってもらったこともありました。持つべきものは通信仲間です(^^ゞ。

 テクノロジーは進化し、今ではケニアから人工衛星経由で通信できるようになりました(注2)。スピードも100kbpsと、電話線の40倍! ナイロビにも光ケーブルが引かれるようになりました(注3)が、ケーブルを切れてしまうと接続し直す技術がないので、新しく引きなおす状態だとか。ケニアで普通に常時接続できるようになるのはいつのことやらです。でも、メールを読むだけなら携帯電話が使えるようになりました(注4)から、雨が降るとつながらなくなる電話線時代(注5)に比べるとずいぶん便利になったものです。しかし、今までに一体いくら電話代を払ったのでしょう(汗)。

衛星通信用のパラボラアンテナです。職場のアンテナからLANケーブルを自宅まで引いて通信しています 「奇跡」の電話配線

注1:ダイヤルアップでAfrica Onlineに接続し、ニフティーには固定料金制のNIFTY SERVE INTERWAY経由でアクセスしていた。

注2:CGNET(http://www.cgnet.com/)という会社が提供している通信システムの1つ。インマルサット衛星を使い、ユーラシア大陸、アフリカ、東南アジアのほぼ全域、オーストラリアと日本の一部で使用可能。通信には個人用アンテナ(A4ノートパソコン程度の大きさで、625ドルから)等を購入し、パソコンとLAN、USBまたはBluetoothで接続する。料金は、基本料金月額35ドルとデータの送受信1MB当たりにつき6.99ドルが課金される。
 なお、データ通信をする際にはCGNETからデータ圧縮ソフトが提供されるので、たとえば、32KBに圧縮されたメールの送信または受信は5セント程度ですむ。通信速度は100kbps程度で、常時接続が可能。詳しくは、http://www.cgnet.com/products/satellite.htmを参照。

注3:ナイロビでの光ケーブルの敷設は2,3年前から始まったが、何事も迅速には進まないお国柄。埋めたり掘ったりを繰り返している模様で、ブロードバンドが使えるのはナイロビ市内のごく一部に限られている。料金も高額で、個人で使用できる状況ではない。

注4:ケニアには、現在、サファリコム(http://www.safaricom.co.ke/2005/default.asp)とセルテル(http://www.ke.celtel.com/en/)という2つの携帯電話会社があり、サービスを競っている。通話料は両社とも1分28.5ケニアシリング(約50円)だが、登録した電話番号に安くかけられるなどのプランも提供している。一番ケニアらしいサービスは、「電話して」というSMSを無料で送信できるサービスだろう。ケニアでは、SIMロックがかかっている携帯電話なら2500ケニアシリング(約4000円)から、SIMロックがかかっていない機種なら倍くらいの値段で購入できる。最新モデルなら30,000ケニアシリング以上する。

注5:ケニアでは、電話線が地中にほとんどむき出し状態で埋められているため、雨が降るとショートしてしまうのか、凄まじいノイズが入ったり、つながらなくなったりすることが多い。実際に工事しているところを見ると、何百本もの電話線がぐちゃぐちゃに束ねてあり、これで電話が通じるのは「奇跡」としか思えない。